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研究内容

デング・ジカウイルスの蚊体内におけるトロピズム解明

近年、蚊に媒介されるデングウイルス・ジカウイルスはその流行地域の拡大により包括的な対策が急務です。ともにヒトに感染した場合、約8割が不顕性感染に終わるため、潜在的な感染リスク(蚊のウイルス保有率・感染動態)の正確な把握は、人間側のみを対象にした研究では困難です。そこで私達は、ウイルスの“隠れ家”としての蚊の役割に着目し、蚊の体内でのウイルス動態の包括的な理解を目指します。ウイルス感染依存的に発現するレプリコンシステムを軸として、単回感染性粒子を用い、蚊個体内での詳細なウイルストロピズム解明を試みています。レプリコンとは、RNAウイルスの非構造タンパク質のみを細胞内で発現させることによって、ウイルス粒子を形成させることなく、細胞中でウイルスの複製の場であるタンパク質複合体(複製複合体)が形成され、ウイルスのゲノム複製を再現できる系です。これまで、蚊の体内でのウイルスの伝播についてマクロに解析されていますが、感染初期の感染形態について未だ報告されていません。レプリコンツールをベースに、細胞に1回しか感染することのできない単回感染性粒子を作製し、ウイルスの蚊体内でのトロピズム、および各組織・器官への侵入メカニズムを解析しています。これらの研究から、蚊とウイルス間相互作用の理解への端緒が開けることが期待されます。