スタッフ

講師 櫻井 達也 TATSUYA SAKURAI

立場上、あまり大きな声ではいえないのですが、実は節足動物、特に昆虫が大の苦手です。幼少の頃から、友人が夢中で追いかけるカブトムシやクワガタムシも、飼い猫が捕っては見せにくるセミも、全部卒倒ものでした。それが、何の因果か、学部生時代の実習で出会ったピチピチ泳ぐアフリカトリパノソーマ原虫に心を奪われたことから寄生虫学の世界へと足を踏み入れ、その媒介昆虫であるツェツェバエとの相互作用を研究するうちに、現職を拝命するにまで至りました。

  節足動物によって媒介される寄生虫の多くは、特定の節足動物の体内を、特定のルートで移動しながら、特定の組織で発育します。一見単純なようでいて、そこには、複雑かつ巧妙な寄生戦略が存在します。その裏をかくことができれば、新たな疾病制御法の開発につながると考え、寄生組織嗜好性や環境適応に関係する寄生虫の細胞接着や細胞分化の分子メカニズムの解明を目指しています。

  生命現象の観察に根ざした研究を心がけており、眺めているうちに、ラボ在住のカやハエ等にはだいぶ慣れたのですが、野外サンプリングでは、予期せず遭遇するヨナグニサン等に悲鳴を上げさせられることがしばしばあります。その姿を目撃された方々からは、「櫻井は専門を間違えたのではないか」と言われます。聞けば、地球上の既知の生物種(約175万種)のうち、約54%にあたる約95万種が昆虫であることから、地球は「昆虫の星」なのだとか。むしろ「生まれてくる星を間違えたのではないか」、そんな気がしています。

◆略歴

  • 1999年3月 私立名古屋学院高等学校 卒業
  • 2005年3月 帯広畜産大学畜産学部 獣医学科 卒業 獣医師免許取得
  • 2009年3月 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科 博士課程 修了 博士(獣医学)
  • 2009年4月 北海道大学大学院 獣医学研究科 助教
  • 2013年9月 東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 講師
  • 2014年9月 同・衛生動物学研究センター 講師(兼任)

◆所属学会

日本獣医学会、日本寄生虫学会