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マラリア原虫人工染色体を用いた
革新的耐性遺伝子同定法の確立と応用

マラリアは年間約3億人の感染者と約100万人の死者を出す世界3大感染症の一つです。現在のところ、ワクチンなどの効果的な予防法は無く、抗マラリア薬による治療が主な対策です。しかし近年、薬剤耐性マラリア原虫の急速な拡散による治療効果の低下が報告され、マラリアによる死亡者数の増加が強く懸念されています。
 マラリア原虫はある特定の遺伝子に変異が起き、薬剤耐性を獲得します。薬剤耐性の原因遺伝子を決定できれば、その情報を基に診断し、耐性のない薬剤を選択し治療することが可能です。私たちは「マラリア原虫人工染色体」を使って迅速かつ簡便な薬剤耐性同定法を開発し、タイの医療・研究チームと共同で患者より熱帯熱マラリア原虫の耐性遺伝子を同定することを目標とした研究を計画しています。マラリア原虫人工染色体は人工的に作製した極小の染色体で、原虫の遺伝子操作における最新の遺伝子ツールです。これは私たち研究チームにより世界で初めて開発された日本発の技術です。人工染色体を使った高度な遺伝子操作により薬剤耐性遺伝子を同定することは前例のない革新的な試みです。私たちの研究成果は薬剤耐性遺伝子を分子マーカーとした正確な診断技術の開発や精度の高い薬剤耐性マラリア原虫のサーベイランス技術の開発へ応用できます。また薬剤耐性遺伝子の機能を調べ、耐性機構を解明することで耐性を回避する新規治療薬の開発にも繋がると期待されます。

研究代表者
岩永 史朗 いわなが しろう

三重大学 医学部 病態解明医学講座・医動物感染医学分野・准教授
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1973年1972年、長崎県に生まれる。1994年九州大学農学部農芸化学科卒業。1999年九州大学大学院農学研究科博士課程修了、農学博士。神戸大学農学部・助手、鳥取大学医学部・講師を経て、2009年より現職。2004年~2005年にマラリア原虫遺伝子操作の老舗であるオランダ・ライデン大学医学部(Andrew P Waters教授)に留学し、マラリア研究を開始する。座右の銘は「バカはあきらめないことだけが取り柄」であり、いろいろな壁にぶつかりながらもあきらめず、研究を進めてきた。

《主要論文》PLoS One. 7(3):e33326(2012), Genome Res. 22(5):985-92 (2012), Cell, Host & Microbe. 7(3):245-55 (2010) , Mol Microbiol. 75(4):854-63 (2010), Mol Microbiol. 2009, 71(6):1402-14 (2009)

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